特別展「空海と真言の名宝」の開催を機に、高野山東京別院を訪れました。この記事では、高野山東京別院へのアクセスや境内の見どころ、お護摩祈祷について紹介します。また、弘法大師様を慕う理由や、弘法大師様にまつわる言葉も、実際に参拝した体験を交えながらお伝えします。
高野山東京別院へ
東京・上野にある東京国立博物館では、2026年7月14日から「弘法大師生誕1250年記念 特別展『空海と真言の名宝』」が開催されている。
弘法大師・空海は、唐から密教を持ち帰り、平安時代初期に真言宗を開いた僧である。その真言密教に伝わる秘仏や密教絵画など、貴重な名宝に触れることができる特別な展覧会である。
私も近いうちに足を運ぶ予定だ。
と、その前に、まず弘法大師様へご挨拶に伺いたいと思い、東京・高輪にある「高野山東京別院(高輪結び大師 )」を訪ねることにした。
高野山東京別院は、和歌山県・高野山にある総本山「金剛峯寺(こんごうぶじ)」の直轄寺院であり、東京において高野山の教えや祈りに触れることができる大切な別院である。
下車した駅は「高輪ゲートウェイ駅」。
JR山手線・京浜東北線の田町駅と品川駅の間に開業したおかげで、とても行きやすくなった。

品川駅寄りの南改札を出たら、左手へ進む。

そのまま真っ直ぐ突き当たりまで行き、右手にある下りのエスカレーターを降りる。


信号を渡り、「Futaba」と書かれた白い看板のあるビルの右側にある「桂坂」を登る。

緩やかな坂ではあるものの、歩いていると案外きつく感じる。
一つ目の信号も、そのまま直進する。
もう少し歩くと左手に花壇と「高野山東京別院」の立て看板が見えてくる。

こちらからも入ることができるが、正門へ向かう場合は、そのまま進み、二つ目の信号は渡らずに左折する。

すると、お大師様の像が迎えてくれて、その奥に門構えが見える。


ここまで、高輪ゲートウェイ駅から徒歩約10分。品川駅から徒歩約13分。
※他路線で「泉岳寺駅」や「高輪台駅」などからも徒歩でアクセスできます。詳しいアクセスは公式ホームページをご確認ください。
境内の見どころ
門をくぐり境内に入ると、左手に四国八十八ヶ所霊場のお砂踏みができる場所がある。

お砂踏みとは、弘法大師・空海ゆかりの各寺院のお砂を踏むことで、実際にお遍路を巡ったのと同じ功徳をいただけるとされる信仰行だ。
右手には明神社がある。
明神社には4つの社殿があり、7柱の神様がお祀りされている。
高野山では、弘法大師・空海が高野山を開く際、土地の神様である丹生明神や高野明神の加護を受けたという伝承があり、神仏だけでなく土地の神様も大切にされてきた。
お寺の境内に神社があることを、不思議に感じる方もいるかもしれない。しかし、これは神仏習合の歴史を持つ日本ならではの信仰の姿の一つなのである。
次に、右手奥には不動堂もある。

こちらには不動明王がお祀りされている。
不動明王は、真言密教において大切にされている仏様で、迷いや煩悩を断ち切り、正しい道へ導いてくださる存在とされている。また、憤怒の表情をされているのは、人間に向けた怒りではない。どんなに言うことを聞かない人であっても、力強く引き上げて必ず救うという、強い慈悲の表れなのだ。
さらに、不動堂は、お護摩祈祷が行われる専用のお堂。 真言密教の代表的な修法(しゅほう)である「護摩」は、壇に設けられた炉で護摩木を焚き、その智慧の炎で人々の煩悩や災いを焼き尽くし、願いの成就を祈る儀式だ。高野山東京別院では、この護摩の修法によるご祈願が毎日行われている。
私は、高野山東京別院では、まだお護摩祈祷を受けたことがない。
比較的、自宅から近いお寺では、最低でも月に一度はお護摩祈祷を受けるよう心がけている。
私が信仰する宗派が真言宗だからだろうか。般若心経や真言を唱えることに抵抗はなく、むしろ、お護摩祈祷を受けることで、心が落ち着き、自分自身を見つめ直す時間になるように感じている。
格式があり、どこか神秘的でもあるお護摩祈祷。
仏様や弘法大師様、そしてご先祖様ともつながっているような気持ちになれる、尊い修法だ。
まだ体験されたことがない方は、一度、お護摩祈祷をお受けになることをおすすめしたい。
いよいよ、境内の中心に建つのが、ご本堂。

「遍照殿(へんじょうでん)」と呼ばれ、高野山東京別院で最も大切なお堂だ。
扉を開くと、お線香のやさしい香りが漂う。
堂内は静寂と厳かな空気に包まれ、自然と背筋が伸びる。
中央正面には、弘法大師様がお祀りされている。
真言密教の祈りが、今も息づいていることを感じさせてくれる場所だ。
黒い椅子が整然と並んでいるので、私はお参りを済ませると椅子に腰掛け、自分なりの祈りを続ける。真言を唱え、まだ覚えきれていない般若心経も、たどたどしく唱えてみる。
そして、お大師様へ日頃の感謝と近況を報告する。
……そこで終わればいいのだけれど。
とはいえ、やはり煩悩がある。
最後は相談をしたり、お願いごともしてしまう。(苦笑)
私にとっては、聖なる空間である。
なお、堂内は写真・動画ともに撮影禁止となっている。
静かな祈りの場でもあるため、参拝の際はルールとマナーを守りたい。
御朱印やお守りなどは、本堂に向かって左手の建物でいただくことができる。

弘法大師様への想い
……う〜む。実は、お大師様は私の推しです。
(あっ、言っちゃった!)
お慕いする理由は、仏教にとどまらず、書や教育、文化など幅広い分野で後世に大きな影響を残されたこと。さらに、並外れた才能と智慧をお持ちのお方であり、数々の不思議な逸話が伝わっていることだ。
例をあげるなら、今なお高野山・奥之院では、お大師様が「入定(にゅうじょう)」という深い禅定(精神統一)の境地に入り、人々のために祈りを捧げ続けているという。
その信仰に基づき、奥之院では毎日「生身供(しょうじんぐ)」が営まれ、現代も変わらずお大師様へお食事が供えられている。
通常では考えられないことだ。けれど、それほどまでに人々の篤い信仰を集め続けていることこそ、お大師様の偉大さを物語っている。
お大師様の歩みや伝えられた教えを知れば知るほど、「さもありなん」と思えるのである。
※さもありなん:「いかにも、そのようなことがあっても不思議ではない」の意。
お大師様にまつわる諺や、真言密教の教え、信仰の中で受け継がれてきた言葉は数多くある。なかには、普段何気なく使っている言葉もあり、その由来を知ると驚くこともある。代表的なものを紹介すると――
🔶 弘法にも筆の誤り(こうぼうにもふでのあやまり)
どんなに優れた人でも、時には失敗することがあるという意味。書の名人として知られる弘法大師様に由来することわざである。
🔶 同行二人(どうぎょうににん)
四国遍路では、たとえ一人で歩いていても、弘法大師様が常に寄り添い、ともに歩んでくださるという信仰を表す言葉。
🔶 身口意(しんくい)の一致
身体の行い(身)、口にする言葉(口)、心のあり方(意)を一致させ、調和させるという真言密教の教え。
など。
おわりに
名残惜しいが、そろそろお暇の時間。
帰ろうとして門へ向かったとき、改めて明神社へ手を合わせた。
そこで思いがけないことを知る。
境内にある明神社を通して、高野山では神仏だけでなく、土地の神々も大切にされてきたことを改めて知った。明神社については、また別の機会に深く掘り下げてみたいと思っている。
高野山東京別院
■所在地:東京都港区高輪3-15-18
■アクセス
▪JR高輪ゲートウェイ駅 徒歩約10分
▪JR品川駅 徒歩約13分
▪都営浅草線・京急本線「泉岳寺駅」徒歩約10分
■開門時間
6:00~17:00(通年)
■拝観時間・護摩祈祷
最新情報は公式ホームページをご確認ください。
■公式ホームページ
https://www.musubidaishi.jp/































































